「マブい」の意味は?
「マブい」は、人の容貌が美しくてかっこいいことを表す言葉です。
漢字で書くと「眩い」となり、主に大人びている女性に対して使われた言葉です。
<用例>
「マブい」の語源・由来は?
この「マブい」ですが、実はその由来は江戸時代にさかのぼります。
江戸時代に作られた滑稽本「浮世床」に「まぶい」という言葉が登場するのです。
「第一座敷が上手だに、芸が能いいときてゐるに、面がまぶいと云ふもんだから」(浮世床:式亭三馬)
「まぶい」は漢字にすると「眩い」、つまりまぶしいほどに美しい、という意味で使われていました。
「まぶしい」→「まぶい」のように形容詞を省略するのはどこかで見たことがありますよね。
例えば「恥ずかしい」→「恥ずい」、「難しい」→「ムズい」、「気持ち悪い」→「キモい」みたいな。
そう考えると江戸時代も現在もあまり言葉の使い方は変わっていないような気がして、ちょっと嬉しくなります。
「まぶい」は江戸時代からガラの悪い盗人の間で使われていた言葉で、昭和になって不良少年へと引き継がれ、不良言葉としてヤンキーの間で頻繁に使用されるようになります。
ヤンキー語で女性のことを「スケ」と呼んでおり、「マブいスケがいる」みたいな感じで使われていました。
そういえば「ヤンキー」とか「ツッパリ」も最近あまり聞かなくなりましたね…
ヤンキー語だけを集めたページとか面白そうなので、どこかでまとめます(笑)
「タイマン」とか、「リーゼント」とか、「先公」「ダチ公」「スケバン」とかもありましたね。
なお、似た言葉に「マブダチ(=親友)」がありますが、こっちの「まぶ」は「本物」を指す別の言葉から来ており、「マブい」とは語源が違います。要注意。
「マブい」はいつ流行したのか?
「マブい」は1970年代~1980年代にかけて流行しました。
当時はヤンキー・ツッパリ全盛の時代。
漫画では「男一匹ガキ大将」や「ビー・バップ・ハイスクール」といったヤンキー漫画が流行り、ヤンキーの間で「マブい」は大流行します。
「マブい」はいつ死語になったのか
元々はヤンキーの間で広まった「マブい」ですが、その後若者の間に幅広く浸透します。
が、若者言葉の移り変わりは早く、1990年代に入ると姿を消し、死語になっていきました。
平成に入ってからはほとんど使われておらず、まさに昭和を代表する死語の一つと言えるでしょう。
今日もマブい(死語)お月様ですね🌕
— ハゲにゃんこ (@shoei_x8) September 11, 2022
適当な居酒屋入ったらマブい(死語)女性店員がビール注いでくれた上に、何が食べたいか聞いてくれた上でおすすめメニュー提案してくれたんだけど、福岡やばない?
— 寂しさの伝道師 (@malkovichnoana) November 24, 2019
ちなみに類語として「ハクい」があります。
こちらも江戸時代から使われてきた言葉で、「舶来」の略とされる説や、「白(=はく)い」から来ている説があります。
「ハクい」も「マブい」と同様、もともとは江戸時代の盗賊が使っていた隠語から来ているんですよね。
このように犯罪者が使っていた言葉が、戦後の混乱期に不良を介して広まるケースが多かったようです。
「ハクいスケ」みたいな感じで当時のヤンキーの間で広まりましたが、「マブい」ほどには流行しませんでした。